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第16回日本脳神経減圧術学会 会長
糟谷 英俊
(東京女子医科大学東医療センター 脳神経外科 教授)
糟谷英俊
 
 この度、第16回日本脳神経減圧術学会を開催させていただくことになりました。本会には、第2回から毎回出席し、未熟な手技しかなかった私は、この会に出席することによって、諸先輩方から、多くのことを学ぶことができました。そのため、学会長に選ばれたことを感慨深く思い、今回のテーマを「技術の伝承」とさせていただきました。今回のテーマは月並みではありますが、外科医である我々が、学んできたことを次世代に伝える意味を再認識できればと思います。神経減圧術の手技の上達を目指している若手脳神経外科医が、この会に出て、ビデオを熟視し、発表を聞いて、技を盗んで上達し、よい成績を残し、さらに発展させてもらいたいと考えます。
 諸先輩方からの教えは、日本のこの分野における高い技術力に結びついたと思います。しかし、発信力は十分とは言えません。現在、microvascular decompressionをPubMedで検索いたしますと、中国をはじめとするアジアからの報告が相次いでいます。そこで、特別講演には、私と一緒に東京女子医科大学病院で学び、中国に帰って活躍されておられる、上海交通大学脳神経外科教授Weiguo Zhao(赵卫国)先生にお願いしました。先生は、すでに3000例以上の経験があり、常々、日中の懸け橋になりたいと言っておられます。日中の交流にも役立てばと思います。
 また、教育講演では、微小解剖研究の第一人者であられる松島先生にお願いしました。「三叉神経痛はpetrosal veinとの戦い」との言葉に納得し、お願いしました。また、世界中の脳神経外科教室で、手羽 chicken wingを用いたmicrosurgery練習が行われております。この練習法を発想され、Yasargil先生から絶賛された、滋賀県済生会病院の日野明彦先生にmicrosurgeryの練習方法を伝授していただく予定です。
 神経減圧術は、誰もが気軽に行える手術ではないと思います。しかし、血管障害等で研鑽を積んだのち、手順を踏んで技術と知識を身につければ、患者さんに貢献できる脳神経外科の妙技であると思います。本学会が会員の発展のための一助となることを祈念しております。また、後に続く若手の先生方の勉強のよいチャンスとなればとも思います。
平成25年4月吉日